飲食業界で広がる廃棄物管理のアウトソーシング

処理業者の選定、ゴミの回収日の調整、請求書の対応など、廃棄物を処理するには多くの作業が発生します。外食チェーンや外食産業ではこうした廃棄物の処理に関する業務をアウトソーシングできることをご存じでしょうか。外食産業の多店舗展開企業では、各店舗が廃棄物を適正に処理できているか不安に感じていたり、店舗数の増加によって本社の業務がパンクしかけているといった課題を抱えているケースが増えています。このような課題に対して、廃棄物管理業務の一部、または全部をアウトソーシングすることで、適正な処理と本社業務効率化を同時に実現できます。本記事では、外食チェーンを中心に進む廃棄物処理業務のアウトソーシングについて紹介します。

１．多店舗展開で分かれる管理体制　本社管理と店舗管理

外食産業から出る廃棄物の多くは、事業系一般廃棄物と粗大ごみです。外食チェーン企業では、各地域の処理業者と契約を結ぶ必要があり、本社が一括管理するケースと、各飲食店店舗に任せるケースに分かれます。また、回収日の調整やマニフェストの管理など、本社と店舗どちらで管理するかによって業務負荷も大きく異なります。まずは、本社管理と店舗管理のよくあるケースを紹介します。

本社管理の運用と特徴・課題

本社管理の場合、廃棄物の契約や処理に関して、本社が一括して管理してます。処理業者の選定から契約締結、許可証の管理、マニフェストの発行、請求処理、問い合わせ対応まで、すべてを本社が担うことで、法令順守と業務の標準化を図っています。店舗からの回収依頼やトラブルが発生した際も、本社を経由して処理業者と調整を行う仕組みです。

特徴・メリット

• ガバナンスの確保やコンプライアンス体制の確保ができる

• 業務を標準化できる

• 廃棄物データの集約が可能になり、環境問題の取り組みの検討やコスト最適化にもつながる

課題・リスク

• 店舗数が多いほど、本社の事務負担が大きくなる

• 回収スケジュールの調整や緊急対応にタイムラグが発生しやすい

• 担当部署のリソースによっては、全体の対応品質が不安定になる可能性がある

店舗管理の運用と特徴・課題

店舗管理の場合、廃棄物の管理を各店舗に任せています。この場合、店舗ごとに地域の処理業者と契約をしたり、回収日の調整、マニフェストの発行、請求処理、問い合わせ対応などを各店舗で行います。本社は必要に応じて状況を把握しますが、日常の運用は基本的に店舗側に委ねられています。各店舗での対応が柔軟な一方で、全社としての統制は取りにくくなります。

特徴・メリット

• 店舗ごとに業者を柔軟に選定できる

• 回収日の調整・変更など、現場の判断で迅速に対応しやすい

• 本社の業務負担が軽減される

課題・リスク

• 不適切な契約や法令違反があっても本社が気づきにくい

• 廃棄物の情報やコストを集約できず、経営的な分析や改善が難しい

• サステナビリティ施策を打ち出しにくく、全社的な環境対応が進まない

本社管理でも店舗管理でも、廃棄物管理にはそれぞれに負荷やリスクがつきまといます。特に、全国に複数店舗を展開する飲食チェーンにとっては、「適正に管理したいが、本社では対応しきれない」「店舗に任せたままだと実態が見えない」といった悩みを抱えているケースも少なくありません。こうした背景から、廃棄物管理のアウトソーシングを選択する企業が増えつつあります。

２．アウトソーシングという選択肢が注目される理由

廃棄物の処理は、排出事業者に利益をもたらすものではないにもかかわらず、法令が複雑で対応も煩雑です。特に外食チェーンや外食産業では店舗数が多いほど、管理の見落としや業務の手間も増大します。こうした中で、第三者である廃棄物管理会社に業務を委託する＝アウトソーシングという選択肢が、飲食業界や外食産業を中心に広がりを見せています。

廃棄物管理に必要な業務は多岐にわたる

外食チェーン企業の飲食店から出る廃棄物は、事業系一般廃棄物や段ボール、粗大ごみなど多種多様です。これらを適正に処理するためには、以下のような業務が発生します。

• 処理業者の選定と契約

• 回収日の調整

• 許可証、マニフェスト、契約書の適正管理

• 請求対応

• （必要に応じて）行政等への報告やレポートの作成

これらを外食チェーン本部や店舗で行おうとすれば、相応のリソースが必要となり、飲食店運営担当者の負担は少なくありません。

アウトソーシングで何が変わるのか？

廃棄物管理会社にこれらの業務を委託することで、企業側は実務から解放されるだけでなく、「管理の質」自体を高めることができます。外食産業においては特に専門知識を持つ第三者が関与することで、法令遵守の精度が高まり、属人的な対応に依存しない体制を構築できます。さらに、外部からの改善提案や最新情報を収集できる点も大きなメリットです。具体的な変化としては以下のような点が挙げられます。

• 許可証や契約書の管理を代行 → コンプライアンス違反のリスク低減

• 回収日や処理業者との調整 → 店舗からの問い合わせ対応が不要（管理会社が処理業者と調整）

• 各業者からの請求を一本化 → 請求業務を効率化

• 廃棄物データの一元管理 → コスト管理や再資源化の推進

外食チェーンにとって、このような体制は業務負荷の軽減と同時に、サステナブル経営の実現にもつながります。

飲食業界で廃棄物管理業務のアウトソーシングが進む理由

外食産業は、廃棄物の発生頻度が高く、また廃棄物の処理や管理に専門性が求められます。その一方で、外食チェーンの本社や店舗では本業に追われ、そこに十分な時間や人員を割くことが難しいのが実情です。今までの運用から切り替えることは、どちらにも相当な負荷がかかります。だからこそ、「現場に任せきりにせず、しかし本社も抱え込みすぎない」という、飲食店運営におけるバランスの取れた管理体制が求められています。全国展開する外食チェーンでは、煩雑な実務をプロに任せるアウトソーシングという選択肢が、無理なく効率よく廃棄物管理を行う手段として注目されています。

廃棄物管理のアウトソーシングは、業務負荷の軽減だけでなく、外食産業におけるコンプライアンス強化やコストの最適化、再資源化への取り組みなど、これからのサステナブル経営にもつながる有効な施策です。飲食店を多店舗展開する外食チェーンあればあるほど、そのメリットは大きくなります。

弊社では、全国規模の外食チェーン企業様の支援実績がございます。廃棄物管理の体制見直しや、アウトソーシングについてご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。