CONTACT

エコロジネットプラス

すべての事業者の廃棄物業務をシンプルに、効率化する「廃棄物管理クラウドサービス」

COLUMN

海洋ゴミの現状とその取り組み― 海洋ゴミを知ることで見えてくる、私たちの社会と選択 ―

はじめに

ニュースやSNS等で「海に流れ着くプラスチックゴミ」の映像や記事を目にしたことがある方は多いと思います。環境問題として真っ先に思い浮かぶ課題が「海洋ゴミ問題」という方も少なくありません。今や「ゴミ」の問題は単なる廃棄物処理の課題や清掃活動による対策ではなく、廃棄物管理・資源循環・企業のサステナビリティ戦略として不可欠なテーマです。

特に「海洋ゴミ」は、陸上で発生した廃棄物が河川や風によって海に流れ込み、海洋生態系に重大な影響を及ぼす現象であり、世界的にも大きな環境問題となっています。そこには、私たちの消費行動、経済構造、地域格差、そして未来世代への責任が複雑に絡み合っています。これらは企業が持続可能な環境経営を進めるうえで重要な示唆を与えるものです。

本コラムでは、最新の海洋ゴミの現状を整理しながら、廃棄物管理・リサイクル・サーキュラーエコノミーの観点からその対応策を解説します。海洋ゴミ問題から見えてくる社会的課題と、今世界で進んでいる取り組み、そして私たち一人ひとりができることを考えていきましょう。

 

ゴミはどこから、どれくらい流れているのか

海で永遠に漂う膨大なゴミ

現在、海には約1億トン以上のプラスチックゴミが流出していると推計されています。

海洋ゴミというと、主に漁業や船舶といった「海に関する」ゴミが多いと思われるかもしれません。しかし、海洋ゴミの8割以上が「陸由来」なのです。つまり海にゴミがある原因は私たちの日常生活そのものからきているのです。

出典:政府広報オンライン

 

毎年、世界規模で数百万トンものプラスチック廃棄物が海に流入していると推計されています。数字だけだとイメージが湧きにくいかもしれませんが、これは大型トラック1台分のゴミが毎分海に捨てられている計算になります。その多くは私たち人間の日々の生活から発生したゴミなのです。

出典:政府広報オンライン

海ゴミの流出メカニズムとその実態

陸域から発生したプラスチックごみは、その多くが河川を経由して海洋へ流入しており、これが海洋汚染の主要なルートであることが、カリフォルニア大学サンタバーバラ校による最新の研究(2025年)において改めて強調されています※1。

日本国内でも約30,000m³以上の海洋ゴミが海岸に漂着している地域があり、主にペットボトルや発泡スチロールが中心であるというデータが示されています。包装材、ペットボトル、レジ袋などの使い捨てプラスチックが、適正な廃棄管理やリサイクルを経ずに排出されると、雨水や風によって河川へ運ばれ、最終的に海に到達します。特に近年問題視されているのが、マイクロプラスチックです。これは直径5mm以下の微細なプラスチックで、衣類の化学繊維、洗顔料や歯磨き粉に含まれるスクラブ、劣化したプラスチック製品などから発生します。目に見えないサイズのため回収が困難で、生態系や人体への影響が懸念されています。海洋ゴミは、生態系のみならず企業活動にも影響を及ぼしうる大きな社会問題になっています。そのため、企業が環境配慮型の商品開発やサプライチェーン管理を進める際、「海洋ゴミが流入するルートと原因」を理解することは、製品寿命やリサイクル設計の見直しにも直結してきます。

※1 参照:カリフォルニア大学「How plastic pollution flows from rivers to oceans — and how to stop it(UC Santa Barbara)

 

海洋ゴミが引き起こす3つの深刻な影響

生態系への影響

海洋ゴミは、多くの海洋生物に直接的な被害を与えています。ウミガメがビニール袋をクラゲと誤って食べる、海鳥がプラスチックを餌として雛に与えてしまう、といった事例は後を絶ちません。米国ワシントンD.C.に拠点を置く非営利の環境擁護団体の研究によると、海鳥・ウミガメ・海洋哺乳類は想像よりもずっと少ないプラスチック量で致命的な影響を受けるという事が明らかになりました※1。

  • 海鳥:砂糖3個分未満のプラスチックで90%の致死確率
  • ウミガメ:野球ボール2個分のプラスチックで致命的
  • 海洋哺乳類:サッカーボール1個分程度のプラスチックで高リスク

これは生態系への影響が「少量の誤飲」で既に深刻であることを示しています。また、プラスチックは有害化学物質を吸着しやすく、食物連鎖を通じて生態系全体にも影響を及ぼします。

※1 参照:Ocean Conservan 「Groundbreaking Research Identifies Lethal Dose of Plastics for Seabirds, Sea Turtles and Marine Mammals

 

経済への影響

観光地の海岸にゴミが漂着すれば、景観が損なわれ観光産業に打撃を与えます。漁業においても、ゴミが漁網に絡まる、魚の品質が低下するなど、経済損失は甚大です。

 

人の健康への影響

マイクロプラスチックは、すでに海産物や飲料水、空気中からも検出されています。現在、人間は10日でクレジットカード2枚分(約7g)、1か月でレゴブロック1個分(約22g)、1年間で安全ヘルメット1個分のプラスチック(約248g)を体内に入れていると言われています※2。実際に海外の研究機関では人間の血液からプラスチックが検出されたというデータも発表されていて、最新の研究結果によるとプラスチック汚染は環境だけでなく人体・健康にも影響が及んでいる可能性が指摘されています※3。プラスチック関連の健康リスクは心臓疾患や喘息、がんなど多岐に及び、 廃棄物と健康の関連性が政策議論の中心に入りつつあります※4。プラスチックが人体における長期的な健康影響については未だ未解明な部分も多く、「分からないこと自体がリスク」として認識されています。

※2 参照:グリーンピース・ジャパン「驚愕 / 1週間でクレジットカード2枚?私たちが食べるプラスチックの量
※3 参照:日本経済新聞「血液や肺に侵入 マイクロプラスチックは有害か?
※4 参照:ピュー・チャリタブル・トラスト「Plastic Pollution Growing at Troubling Rate With Significant Environmental, Human Health Consequences

 

海洋ゴミと廃棄物管理

海洋ゴミ問題が映し出す「社会的課題」

海洋ゴミの問題を深掘りすると、単なる環境問題ではなく、深刻な社会構造の課題が浮かび上がります。

  • 便利さを優先してきた大量生産・大量消費社会
  • ゴミ処理インフラが整っていない地域との格差
  • 「使い捨て」を前提としたビジネスモデル
  • 環境コストが価格に反映されない経済の仕組み

つまり、海洋ゴミは「個人的なマナーの問題」ではなく、社会全体で作り出してきた結果なのです。

 

「陸から海へ」行かせないために

海洋ゴミの約8割は街から発生し、河川を通じて海へ流れ出ていると言われています。この「陸から海へ」のルートを断つためには、企業と消費者の双方が流出防止を自分事として捉えなければなりません。企業側は、工場や物流拠点での梱包資材・原料の飛散防止を徹底するとともに、廃棄物が最終処分まで適切に管理される体制を整えるなど、「事業活動から一歩も外に漏らさない」仕組み作りが求められます。一方、消費者側も、街のゴミが排水溝を通じて直接海へ繋がっていることを意識し、適切な分別やポイ捨て防止を徹底することが不可欠です。

このように、サプライチェーンの上流から下流までが連携して管理の死角をなくしていくことが、海洋ゴミ問題の本質的な解決へと繋がります。

 

海洋ゴミ対策として企業が取り組むべき方策

① 廃棄物の発生源管理を徹底する

廃棄物が発生する段階で、どのような排出物がどれだけ出ているかを可視化します。

例えば、

  • 生産段階における廃棄物発生抑制
  • 消費者使用後を見据えた、海洋流出を防ぐ設計

これらの取り組みにより、発生量を削減する設計・包装改善・原料見直しなどが可能になります。

 

② データによる見える化とマネジメント

電子マニフェストや廃棄物管理システムを導入することで、法令遵守だけでなく、処理コストやリサイクル率を定量管理できます。これが、海洋ゴミ対策としての廃棄物削減につながります。

 

③ 再生資源ループの構築

企業間での再生資源の流通を促進し、資源として循環させる取り組みを設計します。これにより、廃棄物が原料として再投入され、海への流出を防ぐことができます。

これらは単なる環境配慮ではなく、企業価値向上の基盤戦略でもあります。持続可能性を求める顧客や投資家からの評価にも直結するでしょう。

 

④ 持続可能なCSR活動(企業の社会的責任)の実施 

利益追求だけではなく、環境や地域社会など幅広いステークホルダーに対して責任ある行動をとる事で、持続可能な社会の実現と企業価値の向上にもつながります。

 

世界と日本で進む最新の取り組み

国際的な報告では、現在のままでは海洋プラスチックは今後も急増していくと予測されています。

  • 1950年からプラスチック生産は230倍に増加。
  • パッケージ用途だけで全体の3割を占め、ほとんどが短期使用後に廃棄される。
  • このままでは、2040年に海洋中のプラスチック量が76Mt(メガトン)に達する可能性があると試算されています。

2050年には海に魚よりもプラスチックゴミの方が多くなると予測されていますが、実際はそれよりももっと早い段階で現実のものとなってしまうとも言われています。

 

出典:政府広報オンライン

 

海洋ゴミの多くは、陸上での事業活動や生活から生じた廃棄物が、適切に管理・回収されずに海へ流出したものです※1。 この問題を根本から解決するには、廃棄物管理やリサイクルの強化はもちろん、製品設計の段階から「廃棄物を出さない(発生抑制)」仕組みを作ることが不可欠です。 つまり、これら「上流」と「下流」両面での対策を統合的に進めない限り、海洋ゴミの増加を止めることはできません。

※1 参考:WWFジャパン「海洋プラスチック問題について

 

国際的な動き

現在、国連を中心にプラスチック汚染に関する国際条約の策定が進められています。
これは、気候変動におけるパリ協定のように、各国が共通のルールのもとでプラスチック問題に取り組む枠組みです。
また、EUでは使い捨てプラスチック製品の規制が進み、代替素材やリユースモデルへの転換が加速しています。

 

日本国内の取り組み

日本でも、2022年に施行されたプラスチック資源循環促進法により、設計段階からリサイクルや再利用を考える動きが広がっています。世界レベルでみてもプラスチック袋禁止・課金政策は、実データで25〜47%程度の袋ごみ削減効果があることが確認されており、「実効性のある行動変容」を促す事例として評価されています※2。加えて、自治体や企業、NPOや民間団体によるビーチクリーン活動、アップサイクル製品の開発、生分解性プラスチックの活用、回収スキームの構築など、草の根レベルの取り組みも重要な役割を果たしています。

※2 参照:Ocean Conservan 「Groundbreaking Research Identifies Lethal Dose of Plastics for Seabirds, Sea Turtles and Marine Mammals

 

海洋ゴミ対策は企業の環境経営に直結する

海洋ゴミの問題は、単に海の環境を守るだけでなく、企業活動全体を見直す契機でもあります。リスクとしては、法令違反によるペナルティだけではなく、ブランド信頼の低下や、サプライチェーンリスクの顕在化などがあります。一方で、適切な廃棄物管理・リサイクル・資源循環の実行は、企業の環境経営を強化し、事業の持続可能性や競争力につながります。

 

海洋ゴミとサーキュラーエコノミー(循環型経済)

海洋ゴミの対策を語るうえで重要なのは、「単なる回収・処理」ではなく 「資源として再利用し、循環させる設計」 です。これがサーキュラーエコノミーの考え方です。

従来のリニア型経済(取る・使う・捨てる)ではなく、価値ある資源を廃棄物とせず、企業活動の中で循環させていく仕組みづくりが求められています。

企業の廃棄物発生源では、分別の精度を高める、再生資源利用率を向上させる、サプライヤーと協働してリサイクルループを構築するなどの取り組みが進んでいます。また、廃棄物を単に処理するだけでなく、再生資源物として次の製品に再投入するサプライチェーンを設計することが、海洋ゴミの流出を防止するための重要な一歩です。

イーコスは、廃棄物の排出から再利用までをトータルで支援し、企業の持続可能な活動をサポートしています。これにより企業は環境負荷低減とコスト最適化を同時に実現することができます。

 

サーキュラ―エコノミー

 

私たち一人ひとりにできること

海洋ゴミ問題はスケールが大きく、無力感を覚えがちです。しかし、変化は必ず日常の選択から始まります。

  • 使い捨てプラスチックを減らす
  • マイボトルやエコバッグを使う
  • 環境配慮型の商品や企業を選ぶ
  • 問題を知り、共有する

完璧を目指す必要はありません。大切なのは、「知った上で選ぶ」ことです。

 

まとめ

海洋ゴミ問題は、遠い海の出来事ではなく、企業の日々の廃棄物管理とも地続きの課題です。廃棄物の分別や処理状況を正しく把握し、資源として循環させていくことは、結果として海洋ゴミの発生抑制にもつながります。そのためには、まず自社でどんな廃棄物が、どこで、どれだけ発生しているのかを把握し、管理できる状態をつくることが重要です。私たちは、廃棄物管理の見える化やデータ整理を通じて、企業のサステナビリティ推進を現場から支援しています。

海洋ゴミという社会課題をきっかけに、自社の廃棄物管理や資源循環の進め方について検討されている場合は、お気軽にご相談ください。

 

 

CONTACT

お問い合わせ

廃棄物の処理・管理、
資源の再利用に関する課題をお持ちの企業様

まずはお気軽に
お問い合わせください

まずは貴社の課題をお聞かせください。最適なプランをご提案をさせていただきます。
無料でお見積りも承ります。

お問い合わせフォーム