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Scope3カテゴリ5とは?廃棄物処理におけるGHG排出量の算定方法と効率化のポイント

Scope3カテゴリ5とは?廃棄物処理におけるGHG排出量の算定方法と効率化ポイント

企業が温室効果ガスの排出量を正確に把握することは、ESG評価や投資家からの評価に直結します。
特にScope3カテゴリ5に該当する「事業から出る廃棄物」は、多くの企業で処理費用ベースのざっくり計算にとどまり、実態を反映できていないケースが少なくありません。

本記事では、廃棄物処理におけるGHG排出量を排出量ベースで正しく算定する方法や、データ収集・集計の課題を解決する効率的なポイントを解説します。

1.Scope3カテゴリ5の基本理解

Scope3カテゴリ5は「事業から出る廃棄物の処理」による温室効果ガスの排出を対象としています。具体的には、事業活動で発生した廃棄物が運搬・焼却・埋立・リサイクルなどの処理過程で排出するGHGを算定するものです。廃棄物の量や処理方法によって排出量は大きく変わるため、適切なデータ収集と算定が重要となります。

排出事業者にとって、廃棄物由来の排出を正しく算定する意義

廃棄物処理から発生するGHG排出量を正しく算定することは、排出事業者にとってサプライチェーン全体の環境負荷を把握する上で不可欠です。自社から直接出る排出(Scope1)や購入電力由来の排出(Scope2)だけでは、環境への影響は見えません。廃棄物由来の排出を含めたScope3全体を把握することで、削減施策の優先順位付けや廃棄物処理方法の改善、再資源化の促進など、より実効性のある環境戦略を立てることができます。


2.事業から出る廃棄物の算定方法

事業活動から発生する廃棄物は、Scope3カテゴリ5(廃棄物)に分類されます。本章では、廃棄物由来のGHG排出量を正しく把握するために、算定の対象となる範囲(算定範囲)、具体的な計算方法(算定方法)、そして実際の算定例を順に解説します。これにより、自社の廃棄物管理と排出量の可視化を効率的に進めるための基礎を理解できます。

算定範囲

Scope3カテゴリ5の算定対象には、「産業廃棄物」と「一般廃棄物」が含まれます。ただし、有価で売却される廃棄物や、無償で引き取られる廃棄物は算定対象外です。また、自社内で焼却処理を行う場合は、GHG排出が自社敷地内で発生するため、Scope1の算定範囲となる点に注意が必要です。なお、廃棄物の運搬に伴う排出量を含めるかどうかは任意です。

算定方法

廃棄物のGHG排出量は、自社でどこまで処理状況を把握できているかによって、算定方法が大きく分かれます。廃棄物の種類や処理方法、リサイクルの実態まで把握できていれば、より実態に近い排出量を算出でき、それを把握できていなければ実態とかけ離れた結果になります。算定方法は、廃棄物の重量や処理にかかった金額にそれぞれの排出原単位を掛ける方法が基本です。算定方法は下記の通りです。

Scope3カテゴリ5にあたる事業から出た廃棄物由来で発生するGHG排出量の算定方法です

※排出原単位について

排出原単位には、環境省が無償で公開している「排出原単位データベース」と、産業技術総合研究所(AIST)などが開発した有償データベース「IDEA(Inventory Database for Environmental Analysis)」があります。一般企業が自社のGHG排出量を報告する目的であれば、環境省のデータベースで十分対応可能です。一方、より精緻な算定を行いたい場合には、IDEAを活用する企業もあります。

 

算定例

10tの廃油を焼却処理とリサイクルでそれぞれ処理した場合のCO2排出量。(輸送は含まない)

・焼却処理の場合

10(t)×2.560(tCO2e/t)=20.560(t-CO2)  

・リサイクルの場合

10(t)×0.136(tCO2e/t)=1.360(t-CO2)

 

3.自社の処理方法を把握することの重要性

廃棄物に関するGHG排出量を正しく算定するうえで、自社の処理方法を把握することは欠かせません。その重要性は大きく2点あります。

実態に応じた集計ができる

処理方法を正確に把握していれば、リサイクルや再資源化の取り組みが排出量削減につながり、その成果を数値に反映できます。例えば、廃棄物を焼却処理する場合とリサイクルする場合とでは、算定されるCO₂排出量は大きく異なります。実際の取り組みがそのまま算定結果に反映されることで、社内の改善活動やCSR施策の効果を客観的に示すことができます。

社会的信頼の確保につながる

廃棄物の量や処理方法を把握していない場合でも、処理費用をもとに排出量を算定する「金額ベース」の方法があります。しかし、この方法では実態が十分に反映されず、実態の排出量とは大きく異なる数値に算定されてしまう可能性があります。その結果、外部からは「実際の排出を正しく開示していないのではないか」という疑念を招くリスクがあります。

近年はScope3排出量の数値だけでなく、その算定方法の妥当性や透明性が強く求められています。まずは金額ベースでの算定を進め、将来的には実績に基づく算定へと移行することが望まれます。そのためには、可能な限り廃棄物の重量や処理方法を把握し、重量ベースで算定することが重要です。重量ベースの算定は、実態を正確に示すだけでなく、透明性の高いデータとしてステークホルダーからの信頼を得る手段となります。

4.廃棄物データを効率的に収集する方法

算定を難しくしている壁

廃棄物の排出頻度が多い企業にとって、グループ会社や各拠点の廃棄物データを一元管理することは大変な作業です。拠点によっては、同じ廃棄物でも呼び方が違ったり、求めているデータが現場から返ってこないという悩みもあります。Scopeの算定には、自社の廃棄物データを正確かつ手間をかけずに収集できることが理想です。

システムを活用した廃棄物データの一元管理

弊社では、実務に沿った形で廃棄物データを収集できる「エコロジネットプラス」というシステムを提供しています。エコロジネットプラスは、電子マニフェスト(JWNET)とEDI連携をしているサービスで、普段の電子マニフェスト運用をしながら自動で拠点ごとの廃棄物データを集計し可視化できます。なので、実務を行う現場には負担をかけずに、日々の電子マニフェストの運用を効率化させながら、データを集めることができます。また、Scope3カテゴリ5のGHG排出量の集計や廃棄物ごとのリサイクル率の集計など、工数のかかる作業も簡単に集計することができます。

株式会社イーコスが提供する廃棄物管理クラウドサービス「エコロジネットプラス」の操作画面

エコロジネットプラス操作画面(サンプル)

まとめ

Scope3カテゴリ5は、自社活動の実態を正しく反映するために適切な算定が求められます。しかし、重量や処理方法の把握には手間がかかり、金額ベースでは透明性に課題が残ります。システムを導入することでデータ収集や集計の負担を軽減し、信頼性の高い情報開示が可能となります。弊社ではシステムのご提案に加え、企業に代わってGHG排出量の算定も行っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

 

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