
SDGs報告2025で読み解く、日本のサステナビリティ進捗と世界での立ち位置
地球環境や社会の持続可能性が問われる今、SDGsの達成状況は世界的に大きな課題となっています。2030年を目標年とするSDGsですが、2025年現在、その進捗は深刻な停滞局面にあると国連も警鐘を鳴らしています。本記事では、国際的な評価指標であるSDGs報告2025(サステナブル・ディベロップメント・レポート2025※1)をもとに、世界の現状と日本の立ち位置を整理し、これからのSDGsに求められる視点を考えていきます。
※1 Sustainable Development Solutions Network(SDSN):「Sustainable Development Report 2025」
目次
1.世界全体でのSDGs進捗状況
まず世界全体の進捗から目を向けてみましょう。
国連が2025年に発表した「SDGs報告2025」は、SDGs達成に向けた前進が極めて不十分であるという厳しい評価を下しています。
SDGs採択から10年が経過した今、SDGsの達成に向けて評価可能なターゲットは全体の約139にのぼりますが、このうち「順調に進んでいる」と言えるのはわずか18%にとどまっています。
つまり、5分の1以下の項目しか達成ペースに乗れていないということです。この状況は先進国・途上国を問わず共通していて、逆に、進捗が見られないものや後退している項目も多く含まれており、世界全体として2030年の達成に向けて大きな加速が必要であることが明確になっています。
具体的には、感染症対策や教育、電力・インターネットへのアクセス拡大など、一部の分野で進展が見られるものの、極度の貧困や安全な飲料水へのアクセス、気候変動への緊急対応など、根深い課題が依然として残っています。これは単なる数字の話ではなく、実際に世界の人々の生活や環境、将来に直結する重大なテーマでもあります。
こうした「世界的な停滞感」がある一方で、日本という国はどのような位置にあるのでしょうか。次に日本のSDGs進捗を見ていきます。
2.日本のSDGs世界ランキングと国際的な評価
国際的なSDGs評価の重要な指標のひとつ、「Sustainable Development Report(持続可能な開発報告書)」。これは国連関連の研究機関であるSDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)が、各国のSDGs進捗を数値化し、比較ランキングとして示す世界的な評価ツールです。
2025年版の報告書によると、日本は167か国中19位という評価でした。これは前年(2024年)の18位から順位を1つ下げたもので、日本がSDGs達成に向けた努力を続けながらも世界全体の進捗との競争の中で足踏みしている状況を意味します。
過去の推移を見ると、日本は2017年に11位という比較的高い順位を記録したものの、近年は20位前後で停滞しています。一見すると世界19位は悪くない順位に見えますが、欧州の多くの国々が上位を占める中で、日本は国際的なリーダーシップを示すというよりは、世界の中でも「上位ではあるが伸び悩んでいる」国というポジションが現状です。
また、各目標評価を細かく見ると、日本は17のSDGs目標のうち、「達成済み」と評価された目標はごくわずかであり、残りは「課題が残る」「重要な課題がある」「深刻な課題がある」とされ、特に6つの目標※1で最も低い評価が付きました。ここからも総合ランキング以上に個別の課題が多いことが見えてきます。6つの課題について以下に解説します。
※1 参考:朝日新聞「 朝日新聞SDGs ACCTION!」
3.日本が抱える課題
SDGsの17の目標は、それぞれが単独で成立するものではなく、互いに関連し合いながら、人と地球の持続可能性に貢献するものです。
ここからは、日本がとりわけ課題とされているSDGsの中の6つの目標について、現状と背景を読み解いていきます。
SDGs2「飢餓をゼロに」
日本は世界的に食料安全保障が比較的高い国のひとつではありますが、農業の持続可能性や国内での食料自給率向上といったテーマは、今後の政策展開でも重要なポイントとなっています。
SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」
日本はジェンダー平等の分野で世界的に低評価が続いています。政治・経済分野における女性の参画比率の低さや賃金格差などが評価を押し下げる要因です。例えば、世界経済フォーラムによる「ジェンダーギャップ指数」でも、日本は先進国の中で低い順位にとどまっています。この構造的な不平等は、SDGsの根幹である「誰一人取り残さない」理念と矛盾する部分です。
女性の政治参加率や賃金格差、管理職比率など、構造的な課題が依然として根強く残っており、この状態は、労働市場や教育、社会慣習といった複数の領域に影響を与え、男女が平等に活躍できる社会を実現する上で大きな阻害要因となっています。多くの先進国が女性の社会進出を進める一方で、日本は改善の歩みが遅れていると評価されています。
SDGs12「つくる責任 つかう責任」
日本ではプラスチック廃棄物や資源循環の仕組み整備は進んでいるものの、消費と生産の両面で「責任ある持続可能性」を体系的に実現する政策や行動がまだ十分とは言えません。プラスチックごみの削減、リサイクル体制の強化や企業のサプライチェーン全体での環境負荷削減など、一層の取り組みが求められています。
SDGs13「気候変動に具体的な対策を」
気候変動への対応は世界共通の急務ですが、日本はここでも評価が低い領域です。日本は2050年のカーボンニュートラル目標や脱炭素政策を掲げながらも、化石燃料への依存度が比較的高い状態が続いていると評価され、気候変動対策としての具体性や緊急性が不十分だと指摘されています。これは、多くの産業が化石エネルギーに依存している現状や、新たなエネルギーインフラ整備の遅れなど、複合的な要因に起因しています。2030年目標の設定や具体的な削減策について、特に海外からも更なる努力が求められている分野です。
SDGs14・15「海と陸の豊かさを守ろう」
日本は海に囲まれた国であり、その海洋資源や森林・里山などの生態系は文化と産業を支えてきました。それでも、生物多様性の保全や持続的な資源利用の観点では、国際的評価が厳しい部分があります。例えば、海洋プラスチックや海の生態系保全、陸上生物の多様性の保護など、さらなる強化が求められています。
4.なぜ日本は国際評価が伸び悩むのか?
日本が世界ランキングで伸び悩む主な背景には、次のような構造的要因があるといわれています。
相対的な評価の問題
近年、アジア諸国を中心に多くの国がSDGsへの取り組みを加速しており、日本より順位を上げる国も出ています。すなわち日本が停滞しているわけではなく、他国の追い上げが激しくなっているという側面があるのです。
社会制度や文化的背景
ジェンダー平等や多様性推進は、単に政策だけでなく社会文化の変革が必要な分野です。日本は長年の社会慣習や労働慣行がその変化を阻んでいるという側面があり、これが長期的な課題となっています。
総合的政策の必要性
SDGsは互いに強く関連しています。例えば気候変動対策とエネルギー政策、福祉政策や貧困対策は相互に影響し合います。このような複合的な政策を効果的に実施する統合力が、日本はまだ十分ではないという指摘もあります。
5.日本の強みと光る取り組み
もちろん、日本にはSDGsに関連する分野でポジティブな評価を得ている側面もあります。
全体ランキングでは19位に位置するものの、特定の領域や企業・自治体の取り組みでは高い評価や注目が集まっています。
SDGs3「すべての人に健康と福祉を」
日本は健康寿命や基礎的な医療制度の充実といった面で世界的にも高い評価を受けています。国民全体が比較的高いレベルの医療サービスや健康支援を享受していることは、SDGsの健康分野でのポジティブな成果として評価されています。
また、日本各地の自治体や企業が独自に展開しているSDGsへの取り組みは、地域社会に根ざした価値創造にもつながっています。例えば、ある自治体のSDGs未来都市構想では、地域の経済・環境・教育を一体的に捉えた評価体系を導入し、進捗管理に先進的な指標を取り入れています。こうした地域レベルの取り組みは、国全体の持続可能性の底上げにつながる重要な要素です。
SDGs6「安全な水とトイレを世界中に」
日本の水と衛生の水準は、SDGsの目標をすでに「ほぼ達成している状態」にある数少ない成功例のひとつです。日本では、ほぼ100%の人々が安全な飲料水と衛生的なトイレ、そして適切な下水処理システムにアクセスできる環境が整っています。水道水をそのまま飲める国は世界でも決して多くはなく、日本の水インフラは「完成度の高い社会システム」の代表例と言えるでしょう。
さらに日本は、単に国内の整備が進んでいるだけでなく、浄水・下水処理、水質管理、漏水対策、省エネルギー型水処理といった分野で世界最高水準の技術を持ち、それらをアジアや中東、アフリカなどの国々のインフラ整備支援にも活かしています。これは、日本が「SDGs6の達成国」であると同時に、「世界のSDGs6の達成を支える国」でもあることを意味しています。
私たちにとっては当たり前の「安全な水」と「清潔なトイレ」ですが、それは長年の技術開発と社会投資の積み重ねによって築かれてきた、世界に誇るべき持続可能な社会インフラなのです。
SDGs9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
日本は基盤的なインフラ整備や技術革新において世界でも高いレベルにあり、その取り組みは一部の指標で高評価を得ています。長年の技術蓄積と高い生産性は、持続可能な産業構造への転換を支える基盤となっており、公共交通網やICT(情報通信技術)の活用は他国にとっても参考となる高い水準を誇っています。
6.日本が今後取り組むべき課題
SDGsの達成には、国レベルの戦略だけでなく、地域社会、企業、国民一人ひとりの関与が不可欠です。今後の日本に求められる取り組みをいくつかご紹介します。
総合的アプローチの強化
SDGsは互いに関連した目標であるため、横断的な政策連携が必要です。例えばジェンダー平等の向上は、経済活動への参加促進や教育支援など他の目標達成にも寄与します。
データ駆動型政策形成
SDGs評価には定量的なデータが不可欠です。リアルタイムなモニタリングシステムの構築や、市民と企業からのデータ活用を進めることで、政策の効果測定と改善が可能になります。
市民参加型のガバナンス促進と働き方改革
持続可能性は政府だけでなく、企業、地域社会、市民の共同作業です。新たな教育プログラムや市民参加の仕組みづくりにより、SDGsが生活の一部となる社会文化を育むことが重要です。
企業・政府・地域社会が連携して、女性のキャリア支援や制度改革を推進する必要がある上、育児や介護といったケア労働の負担軽減を進め、すべての人が能力を発揮できる社会を築くことが急務です。
環境政策の強化
気候変動対策、循環型社会の構築、生物多様性保全を進めるため、科学的根拠に基づく政策強化と国際協力を深めるべきです。さらに再生可能エネルギーの普及やエネルギー効率の改善は重要なテーマとなっています。
教育と意識啓発
SDGsの総合的な理解を広げる教育や、より実践的な社会的認知度を進め、個人の行動変容を促すことが求められます。教育は単なる知識の提供だけでなく、持続可能な未来への責任と行動を育てる場です。
7.課題を越えて — 前向きな未来へ
ここまで日本のSDGs進捗と課題を見てきました。その中には厳しい評価もありますが、だからこそ私たちは「今、何をすべきか」を具体的に考えることが求められます。
未来は決して固定されたものではありません。社会や企業、地域が協働し、変化を自らつくり出す力こそが持続可能性を拓く鍵です。
日本に求められているのは、単なる目標の達成ではなく、SDGsを生活や事業の当たり前にすることです。
政策だけでなく、教育、消費行動、企業文化、地域のコミュニティ活動…そのすべてが持続可能性のネットワークとなり、新しい価値を生み出します。
未来には、ジェンダー平等が進み、多様な人々が活躍する社会が広がること、再生可能エネルギーと循環型経済が地域を支えること、人々が健康で安心して暮らせる社会インフラが全国に広がること、企業が持続可能性を成長戦略として活用し、世界と競争すること――そんなビジョンがあります。
8.まとめ
「SDGs報告2025」は、世界全体でSDGs達成が大きく停滞している現状を明らかにしています。評価可能なターゲットの進捗は18%にとどまり、日本も19位と十分な前進が見られない状況です。特に社会格差や気候変動対応などの分野では、より踏み込んだ政策と行動が求められています。
一方で、日本には健康・福祉やインフラ分野などの強みもあります。これらを起点に、制度改革や分野横断的な戦略を進めることが、2030年に向けた鍵となるでしょう。SDGsはゴールではなく、未来への基盤づくりの指針であり、限られた時間の中で「行動を成果へとつなげる仕組み」を持てるかどうかが、企業にも問われています。
SDGsを前進させるためには、理念や方針だけでなく、日々の業務の中で確実に成果を積み上げていくことが不可欠です。イーコスは、廃棄物管理の見える化やデータの一元管理を通じて、環境負荷の低減と管理工数削減を同時に実現し、企業のサステナビリティ実践を支援しています。
サステナビリティを「取り組んでいる状態」から「成果として説明できる状態」へ。
イーコスは、現場に根ざした仕組みづくりを通じて、企業のSDGs推進を支えます。
「まずは話を聞いてみたい」そんな段階でも構いません。どうぞお気軽にご相談ください。
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