
廃棄物とは?定義・分類をわかりやすく解説

廃棄物とは?定義・分類を徹底解説
廃棄物とは、使われなくなった物や、不要になった物のことを指します。例えば、家庭から出るゴミや、工場で生じる不要な部品などがこれに該当します。このような「廃棄物」は、法律や規制に基づいて詳細に定められており、環境保護のために適切な処理が求められています。本記事では、廃棄物の定義や種類、分類について解説します。
目次
1.廃棄物の定義
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下、廃棄物処理法)の第2条では、「廃棄物」は下記の通り定義されおり、「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分かれます。
「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)【1】
【1】出典:「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(日本政府)
公式サイトURL:https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137
2.廃棄物の分類
廃棄物を適切に処理するためには、まず廃棄物を正しく分類することが重要です。廃棄物には、「一般廃棄物」と、「産業廃棄物」があり、正しく分別し適正な処理をすることが、環境保護や法令遵守に繋がります。
産業廃棄物と一般廃棄物の分類
廃棄物は、排出の過程や排出されるものにより「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の2つに大別することができます。
- 産業廃棄物
産業廃棄物は廃棄物処理法で、下記の通り定義されています。
事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物【2】
【2】出展:「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(日本政府)
公式サイトURL:https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137
産業廃棄物は事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法令で定める20種類をいいます。また、産業廃棄物のうち原油などの爆発性、廃酸、廃アルカリなどの毒性、感染性など人の健康又は生活環境に係る被害を生ずる恐れがあるものを「特別管理産業廃棄物」といい、特別管理産業廃棄物の中でも、特に有害性の高い物質あるいはそれらを含む廃棄物は、「特定有害産業廃棄物」とされています。
- 一般廃棄物
一般廃棄物は産業廃棄物以外の廃棄物を言います。また、人の健康や生活環境に被害を生じる恐れのあるものを「特別管理一般廃棄物」として厳重に管理することとしています。また、事業活動に伴って排出された廃棄物の中でも、特定の業種以外から排出された食べ残しや紙ごみなどは、産業廃棄物ではなく一般廃棄物に分類されるものがあります。これを「事業系一般廃棄物」と言います。
産業廃棄物と一般廃棄物の違い
廃棄物は、正しく分類することも重要ですが、正しく処理しなければ法律に基づいて厳しい罰則が科されることがあります。産業廃棄物と一般廃棄物、それぞれ処理方法や管理責任が異なります。定義・処理責任・処理区域・契約・伝票管理・許可・専らの6つの観点で解説します。
- 定義
産業廃棄物は、廃棄物処理法に基づき、事業活動に伴って発生する廃棄物のうち、法で定められた20種類のものを指します。工場や建設現場などで発生する金属くず、廃プラスチック類、汚泥などが該当します。一方、一般廃棄物は、産業廃棄物に該当しないすべての廃棄物を指し、家庭ごみや一部の事業活動で発生する廃棄物(例:飲食店の残飯、オフィスの紙くずなど)が含まれます。
- 処理責任
産業廃棄物の処理責任は排出事業者にあります。排出事業者は、適切に処理を行うために、自治体の許可を受けた業者に処理を委託する必要があります。一方、一般廃棄物の処理責任は自治体にあります。ただし、事業活動から発生する一般廃棄物(事業系一般廃棄物)は、事業者が自治体のルールに従って処理する必要があります。
- 処理区域
産業廃棄物の処理区域は全国対応が可能です。排出事業者は、適切な処理施設を全国から選定し、処理を依頼することができます。一方、一般廃棄物の処理は市町村ごとに管理されており、基本的に自治体の指定する処理区域内で処理を行います。
- 契約
産業廃棄物を処理業者に委託する場合、書面による契約(委託契約書)の締結が義務付けられています。契約内容には、廃棄物の種類、数量、処理方法、運搬ルートなどを明記し、適切な処理を保証する必要があります。一般廃棄物については、契約締結は必須ではありませんが、処理の方法や責任の所在を明確にする上で、一般的には締結した方が良いとされています。 ※自治体によって条例で別途一般廃棄物の契約に関する定めがある場合があります。
- 伝票管理(マニフェスト制度)
産業廃棄物は、排出事業者が適正な処理を行ったことを確認するためにマニフェスト(産業廃棄物管理票)の使用が義務付けられています。マニフェストには、排出事業者・運搬業者・処分業者が記載され、廃棄物の流れを追跡できる仕組みになっています。一般廃棄物には、マニフェスト制度の義務はありませんが、一部の自治体では独自の管理方法を導入している場合があります。
- 許可
産業廃棄物を収集・運搬・処理するには、都道府県や政令市からの許可が必要です。許可の種類には、「産業廃棄物収集運搬業許可」「産業廃棄物処分業許可」などがあり、無許可の業者に委託することは禁止されています。一般廃棄物の収集・運搬・処理には、各自治体の許可が必要です。自治体ごとにルールが異なるため、処理を委託する際は事前に確認が必要です。
専ら物(もっぱらぶつ)
「専ら物(もっぱらぶつ)」とは、産業廃棄物のうち「再生利用を目的として取引されるもの」を指し、特例として廃棄物処理業の許可が不要とされている廃棄物です。通常、産業廃棄物を収集運搬・処分するには、都道府県または政令市からの許可が必要ですが、専ら物については許可不要で取り扱うことが可能です。
- 専ら物の対象となる廃棄物
廃棄物処理法において、「古紙」「くず鉄」「古繊維」「びん」の4種類の産業廃棄物が専ら物に該当するとされています。これらの廃棄物は、リサイクル市場で需要があり、再利用が容易なため、専ら物として許可なしで収集運搬や処分が可能とされています。
- 専ら物の取扱いと注意点
(1)専ら物は「適正処理」が前提
専ら物は許可不要とはいえ、不適正な処理を行うと廃棄物処理法違反になるため、以下の点に注意が必要です。
・再生利用を目的としていることが条件(単に廃棄するだけでは専ら物にならない)
・適正な管理が求められる(不法投棄・不適正保管は違法)
・自治体ごとにルールが異なる可能性があるため確認が必要
(2)専ら物を扱う業者の特徴
専ら物の取り扱いを行う業者は、一般的に「リサイクル業者」や「資源回収業者」と呼ばれ、古紙回収業者、スクラップ業者、繊維リサイクル業者などが該当します。産業廃棄物処理業者と異なり、都道府県の許可がなくても事業を行うことができます。
(3)無許可業者との違い
専ら物は許可不要ですが、一般の産業廃棄物を処理する場合は許可が必要です。無許可業者が「専ら物」と称して不適切に廃棄物を処理するケースがあるため、違法業者には注意しましょう。
有価物
産業廃棄物や一般廃棄物に分類される品目であっても、取引によって排出事業者側に利益を生み出す物を有価物と言います。有価物は廃棄物の法規制に関わらず処理をすることができます。ただし、有価物であっても売却価格よりも運搬費や処理費の方が高くなる場合には、注意が必要です。このよう場合を「逆有償取引」と言い、実質的には「費用を支払って処理してもらう」形となるため、廃棄物とみなされる可能性もあります。そのため、逆有償取引を行う場合は、法的な廃棄物処理に該当しないか慎重に判断し、適切な契約や処理フローを整備することが重要です。
有価物の具体例と特徴
金属くず:使用済みの金属製品は、リサイクルによって新たな製品に生まれ変わるため、有価物として取引されます。
プラスチック類:特に高品質のプラスチックは、再処理によって新たなプラスチック製品に再生され、価値を持つ有価物となります。
これらの廃棄物は、外見的には価値がないように見えるかもしれませんが、リサイクルによって貴重な資源として利用されることから、有価物として分類されます。
有価物の処理方法と注意点
産業廃棄物の処理において、マニフェストの発行が必要です。しかし、有価物については、原則としてマニフェストの発行は不要です。しかし、以下の状況においては、マニフェストを発行する必要があります。
産業廃棄物と有価物を一緒に運搬する場合:産業廃棄物と有価物が混在している場合、その取り扱いに関する法規制が異なるため、マニフェストが発行されます。
有価物の輸送費が売却代金を上回る場合:輸送費が売却代金を上回る場合、排出事業場から処分先までの輸送中は、産業廃棄物として取り扱われるため、マニフェストの発行が必要です。
法令遵守と廃棄物処理責任
有価物と産業廃棄物は、処理方法が異なるため、誤った取り扱いをすると、法令に基づく厳しい罰則が科せられる可能性があります。廃棄物の処理における責任は、最終的に排出事業者にあります。したがって、有価物の処理方法について十分に理解し、適切に対応することが非常に重要です。
3.廃棄物分類の手順
廃棄物は適切な分類を行わなければ、法令違反や環境負荷の増大につながる可能性があります。特に、産業廃棄物と一般廃棄物の区別、有価物との違い、適正な処理方法の選定は、排出事業者にとって重要な責務です。廃棄物に関する不明点があれば、お気軽に弊社までお問い合わせください。
廃棄物の分類は、シンプルに見えても実務は複雑で、適切な判断が求められます。誤った処理をしてしまうと法令違反になるリスクもあります。現状の廃棄物管理についても、不明点がある場合は弊社までお問い合わせください。
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